パンテオンのペイジでトップ写真がこれなワケは、滞在中、何度も何度も通った道から見た、思い出のパンテオン景色なのでした。コルソ通りから、コロンナ広場を抜けて、モンテチトーリオ宮前を左に入ると上の写真までやって来ます。もちろん、このパンテオンを背にして、逆を辿るのも繰り返しています。

この日は、雨を無視して、記憶の風景をデジカメに納めました。撮り終えて、デジカメをバッグに仕舞おうとした際に、肩越しに背後の停車しているパトカーが視野に入りました。さすが、観光地・ローマのおまわりさんです。ワタクシ供が互いに無言で撮影を楽しんでいる最中、一度もクラクションを鳴らさず、撮り終えるのを待っていてくれたのです。感激と感謝で、頭をぴょこんと下げましたが、通り越して行くパトカーとパンテオン、これは思い出になると、カシャリです。


朝8時、開門時間丁度にやって来ました。ここでも、他の観光客の姿は見当たりません。ロトンダ広場の噴水前から撮った、パンテオン前景です。雨も止まず、この光景は昨日と変わりありません。

しかし! 内部に入って、驚きました。工事中なのです。天窓から落ちる雨の水溜りを避けて、工事フェンスが、聖母子像を正面に見て、円形床を真半分にするかのように一直線に置かれていました。何を修復しているのか、工事はまだ開始されていないし、想像が付きません。仕切りだけで、足場は立ち上がっていないので、床の工事?さっぱり、わかりません。

仕切りフェンスには、斜線が引かれた手のマークが貼られています。お目当て見たさに、フェンスに両手を掛けて、少しでも近付こうとする動作を想像すると、気持ち、わかります。

いくら工事中と言っても、不思議なことがあります。一番乗りのワタシたち二人しか、いないのです、パンテオン内部に。ここで工事が施されていることをワタシたち以外の全世界の旅人には事前通達がなされていたのでしょうか。や。雨が降る冬の8時は、まだ人々の活動時間ではないのでしょう。

メロッツォ・ダ・フォルリ作フレスコ画「受胎告知」は、工事フェンスで仕切られた反対の半円スペースにあり、見学者のためのライトアップが施されていました。そう。半円スペースだけが、“営業中”のような灯りが当てられていました。


「全ての神々」に捧げられたパンテオンに、世界中からの観光客が立ち寄るパンテオンに、ワタシたち二人だけというこの偶然は、天窓に向かって、心から感謝したいです。

しかし、お参りするのを何よりも楽しみにしていたラファエッロのお墓は、工事フェンスで仕切られた工事中エリアにありました。照明も当たらず、暗がりに存在します。

フェンスの向こうのお墓に向けて、目を凝らして見るようにカメラのシャッターを切りました。

ラファエロ〜!来たよ〜。昨日、フォルナリーナにも会って来たよ〜。元気だったよ、フォルナリーナも。また来るからね〜、ラファエロ〜ッ!元気でね〜!

心の中でこう呼びかけ、語り、3回もシャッターを切ってしまいました。

2000年に初めてここを訪れたときに、ラファエッロのお墓の淵に一輪の赤い薔薇が手向けられているのを見ました。「今も、ラファエッロは愛されているのね。」と思いました。以来、4度目のお墓参り。薔薇を携えたことはありませんが、心を込めた思いを贈っています。



BACK note・0210 NEXT