サン・ロレンツォ・イン・ルチーナ教会が並ぶ広場の突き当たりを左に進むと、壁面に掛かった店名“MATRICIANELLA”がすぐに目に入りました。

お店の開店時間、12時半を回っていることを改めて、腕時計で確認すると、早速、お店に入りました。雨のせいで、外のテーブルは使用中止とのこと、全席禁煙の店内での食事となりました。(写真に見える、テーブルに座っている人たちは単なる一休み組です。)

ご覧のように、店内はブラケット照明だけで、とても薄暗いです。雨天のせいだけではなく、昼夜を通して、この雰囲気がお店の特長のひとつかもしれません。もちろん、花が飾られた窓際のテーブルは食べ物の色彩を楽しめる特等席ですが、すでに開店10分ほどで、全部満席。しかも、見た様子では、旅人ではなく、地元の人たちです。

地元の人々にも人気店では、注文にも期待が高まります。

このお店は、「ローマでお昼ごはん」に紹介されていました。当然、オススメメニューは原語を控えています。

著者オススメのミックスフライ (fritto misto) はすぐさまメニューから見つけ、乳のみ仔牛の小腸をトマトで煮込み、穴あきパスタと和えた“リガトーニ・コン・パイアータ”も注文。さらに、トマトとモッツァレラのサラダと、やはり、ローマ料理と言えば、アバッキオ(仔羊肉)も、リクエスト。そして、午後の行動を控えて、ワインはグラスで注文。

どれもこれも、「大正解!」の連続。

まず、テーブルで注いでくれたグラスワイン。グラスワインで、こんなに上等なワインをいただけるなんて、ひれ伏したいほどです。表現が不適切ですが、ボルドーの極上赤をいただいたような気分でした。ボトルで再注文したい気持ちを抑えて、一杯だけ追加し、それを二人で分けて、惜しむように大切にいただきました。著者のオススメ2点は本当に美味。それは、著書に綴られた通りです。

一番上に載せた写真は“アバッキオ”です。これにもヤラレました。実は、アバッキオをいただくのは初めてでした。なので、どこぞと比較して評することはできません。ともかく、「オイシー!」の一言です。元来、骨付き肉は肉々しく美味いと決まっていますが、フォークの先を当てるとすぐにほぐれる柔らかな煮込み具合は感動ものです。味付けはついに解明できませんでした。素材の旨味が全てを上回って存在しているのかしら。それと、スパイスが黒子になっている。

後に、昼に食して良かったのかと、後悔という言葉を口にするのは自分が許せませんでしたが、腹応えのあるアバッキオの威力は、その日寝るまで消えることがありませんでした。

そうそう。お店のマンマが、「美味しかったか? 満足したか?」というように声をかけてくれたので、余裕を持って指先を頬に当て、「ボーノ」と応えました。すると、「それは、“ボニッシモ”よ。」と、語学指導を受けてしまいました。おっしゃる通りでゴザイマス。大変、ボニシッモでございました。



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